臨床医として働きながら米国MPH受験

卒後7年目産婦人科医。日常診療に忙殺されながらも海外MPHに向けて奮闘中

グローバルヘルスのキャリアを目指す上で臨床医のキャリアは必要か

時間が経つのはあっという間で気づいたらMPH取得してから4ヶ月も経っていました。。。

 

色々書き残したいこともあったのだけど、身の回りのことが落ち着かず、バタバタしてました

 

帰国してから久々の友人とキャッチアップしたり、サポートしてくれた先輩先生方に挨拶したりだったのですが、結構後輩から相談されるようになったり!講演(ってほどじゃないけど😂)を頼まれたりするようになりました。そんなわけで落ち着かなかったのですが、書き残しておきたいことはじわじわ溜まっていたので少しずつ備忘録的に更新していきたいと思います。

 

今日のトピックは最近医学生や研修医の人から連続して聞かれることのうちの一つで

 

「公衆衛生やりたいんですけど、研修医ってやった方がいいですか?」

 

「国際保健やりたいんですけど、専門医っていりますか?研修医まででいいですかね?」

 

なんなら高校生に至っては、「医者で途上国ってもうあれですか?扮装地帯しかないですか?」

 

なんて聞かれたりする。

 

いや、本当に最近そんな後輩が多くてびっくりする。

 

私が医学生、研修医だったときにはjaih-sの人たちはまぁガチで国際保健キャリア考えていたとして、こんなにも身近にいなかったような。

だからこそロールモデルがいなくて、なりたい自分がわからなくて手当たり次第にいろんなことに挑戦していた気がします。

 

私は

国際保健寄りの研修医→ガッツリどっぷり産婦人科医後期研修医→産婦人科専門医・癌治療認定医(その上で周産期新生児専門医修練医/婦人科腫瘍専門医修練医/内視鏡技術認定医修練)からの、遺伝性腫瘍専門医取得予定→MPH留学

という、もう臨床医中の臨床医を経てグローバルヘルスを志しています。

そんな私からは「臨床医→公衆衛生キャリア」の良さばっかりが出てきてしまうし、私のこの流れは後悔していないです。

看護師さんや、コメディカルの公衆衛生キャリアにはもう少し幅がある印象ですが、MDたちは結構これ、悩むんです。

完全に私の主観でしかないのだけどpro/conを書いてみようと思います。

 

1.Clinical Questionを立てられるのは臨床現場にいた人だけ

これは本当に本当に大きいことで、一番に推したいところです。

国際保健だけでなくて疫学分野、臨床研究などといった分野に行きたい人なんて特に。

(というか、臨床医をやる中で目指したくなるのか)

 

私の場合には、低中所得国の母体死亡率に驚愕、日本でも産婦人科は問題たくさん、医師不足、というモチベーションで産婦人科医になりましたが、

臨床医になって

・結構患者さんって妊娠のこと簡単に考えてんなー

性教育ってされてきてないのに、望まれない妊娠っていわれてもそりゃ困るよなぁこの子達...

・日本だけこんなに子宮頸がん患者増えてるの!

・コロナで検診来なくなったからか、最近進行がん多い気もするなー

・当直医との連絡事項ってなんでこんなうまく行かないのー

・わー今日のオンコールXX先生か、

みたいな日々の中からポロポロ疑問というか問題点が浮き彫りになるんですよ

ほぼ自分じゃ解決できなくて、毎日目の前の患者さんと向かい合ってるだけじゃ見過ごされてるような問題ばかりに直面します

そんなところからこう言ったことに取り組みたいって思えると、具体的にどんな研究、政策、コネクション、方針が必要かとかが見えてきたりする。

 

これって非常に重要なスキルです

 

 

2.  自分の専門があることは強みになる

公衆衛生ってバカ広い分野なんです。

なんなら地球がテーマ、くらいな😂

その中で公衆衛生やりたいです!って公衆衛生大学院にいったところで、「うんうん、で?」ってなります。

研究が好きで、政策が好きで、ってのも大いに結構だけど

産婦人科医で母子保健をやっていきたい

呼吸器内科で結核対策をやりたい

感染症内科でHIV対策をやりたい

っていう方が説得力あるし、深みのある勉強になっていくんですね。

母子保健の中でもかなり広いからさらに絞っていく必要があるときもあるし。

医学部卒業して、公衆衛生に飛び込んで、広い分野を広く浅く俯瞰できるっていう良さもあるかもだけど、あれ、私何やりたいんだっけ?何に興味あるんだっけ?ってなっている人も多く見てきました。

 

あとは超曖昧なコンセプトのお題に直面したときも、専門分野の観点から意見求められたりすると結構プレゼンス発揮できたりする。

例えば...気候変動ってどう関係するよ?

「暑いと妊婦さんたちは脱水になりやすい。夏になると悪阻の時なんかはしんどいと思う」

ゲリラ豪雨が増えたことでザンビアのこの地域では妊婦健診に行けない人がかなり増えた」

みたいな。

 

医療倫理的な観点でなんか思うことある?

「NIPTとかゲノム医療って増えてきてるけど、患者がどこまで情報を知るべきか、生まれてくる赤ちゃんに知る権利ってどれくらいあるのかって難しい問題」

なんかそれっぽい会話になりません?(笑)

 

自分軸で大きなものを考えられるのってすごい強み

だし、面白い。

自分に専門がなかったら、こういう議論の司会やる感じになる気がしてる

 

3.  ある程度臨床医を経ると戻り先がある

少し消極的な長所ではあるけど。

公衆衛生に一念発起足を踏み入れたとして、「あれ、やっぱ俺違ったかも。」っていう人もいる

そんなときに臨床バックグラウンドがあると、やっぱり働き口が完全になくなることはない

専門医取るのが数年遅れたり、サブスペシャリティに進むのが遅れたり、多少そんなんがあったとしても臨床での働き方って無限。

だから臨床医は勇気を持って道を外れてほしい、って思う。

 

4.  稼ぎ口がある

3。にも共通するところ。公衆衛生って、大きな口では言えないけれど本当に稼げない笑。

出世しても、うーん、生きてはいける。っていう程度だと思う。

場合によっては、途上国で働く分には十分!っていう感じなときもある。

臨床医の経験があると、パートでも当直でもなんでも生きていくための稼ぎを得ることはできる。途上国派遣を転々と繰り返しつつ、日本にいるときにがっぽり稼いで、っていうガッツリ国際保健現場主義の先生もいらっしゃった。

これって自分がやりたい仕事を継続する上で、すっごくありがたいこと。

 

じゃぁ、臨床医>公衆衛生キャリアのDownsideって?

1.臨床に慣れると外に出ていくハードルが高くなる

高校卒業時くらいからすでになんとなく海外で働きたいみたいな願望があった私にとって、公衆衛生やりたいって思ったのは自然なことで。

医者になる時には割と決意に近かったけど

それでも、専門医をとったあとは、このまま臨床医でもいいかなって何度も思ってました。

それくらい、私は臨床医と言う仕事が大好きでした。

あとは、臨床医のidentityが時々邪魔することもありました。

特にヘルスシステムを学ぶ上では、医師っていうステークホルダーはまぁ一種のコマのような存在で、それになんか反論したくなるというか。。。。😂

2.臨床そこそこできるようになってる時点でそれなりに年がいってる

年がいったら挑戦できないってことはない

そんな否定的なことを言うつもりはないんだけど

ある程度の年齢に達すると家族ができてる人がそれなりにいる。

診療科にもよるけど専門医を取る世代はストレートにいってもだいたい28-31歳くらいだろうか

女性なら尚更、結婚して子供がいる人もいる

それ自体は素晴らしいことなのだが、MPHに行きたい!途上国行きたい!キャリアチェンジしたい!っていっても

なかなか自由が効かなくなってることもある

特に女性はすごくナイーブな年頃でもあるのもあってこれは医学生の時には感じない悩みだと思う

典型的ではないが、私もこの点は随分と悩まされた

男女でここに差を感じたくないが、男性医師の場合には、家庭があっても自由が効くかもしれない

でも経済的責任を感じる場合には、やっぱり新しい世界にも飛び込みにくい。

研究であれ、大学院であれ、商社の転勤であれ、MDの留学に関するプライベートの悩みは、朝まで酒が飲めるくらいのボリュームになります笑

 

一方で、「最初から公衆衛生キャリアのMD」「研修医上がりの公衆衛生キャリア」の方とも出会ってきた。

みんな優秀で、いい感じに変わってて、最高な友人たち笑

 

でも私がなんとなく感じるような上記長所短所は、しっかり食らっているようにも思った。

逆に最初から公衆衛生キャリアのMDは、変に臨床医のidentityもなくていいのかも。

逆に、医者じゃない学部で早く卒業してた方がもっと早くに一人前になれたかもなって呟いてた人もいた気がする。

 

この話題、本当に毎回相談されるたびに話す項目が多くて、その人それぞれすぎて、語りきれないんだよな。。。。

さらに何科がいいと思いますか?なんて言われたらもうさらに🍻一杯追加するか2軒目行くかして語ってしまう、そんな最近です😂